橋梁関連事業PAジョイント
PAジョイント® はNEXCO性能照査型規準に準拠している埋設型伸縮装置です。
ヨーロッパで開発され、2021年現在世界で唯一EU統一基準のETA認可を受けている、従来の埋設型伸縮装置の概念をも覆す伸縮性能と耐久性を有する特殊合成樹脂剤を用いた日本育ちの橋梁用埋設型伸縮装置です。
PAジョイントの特徴
全方向に対応可能
360度全方向に同じ伸縮性能を有する特殊合成樹脂剤は、本来の水平方向の伸縮のみならず、活荷重による桁回転の段差量最大40mmまで対応可能なため、拡幅・拡張による縦・斜め目地における異なる構造物の異なる特性や交通等による振動、強風による揺れにも追従します。
活荷重による桁回転の段差量最大40mm
奈良県五條市 (PC橋+鋼橋の拡幅)
いかなる形状にも対応可能
主剤・副剤の化学反応により硬化する前の特殊合成樹脂剤は適度な流動性があるため、型枠を組めば、平面のみならず立体・曲面等いかなる形状にも対応可能。橋梁の寿命にも大きく影響する止水性を高め、同等の伸縮性能および耐久性能のために、路面+地覆+歩道+高欄までの全てを一体で設置することで、橋梁の長寿命化の一助になります。
- クロス交差
- 突合せ接続
- 垂直合せ
耐久性
硬化後のPA溶剤は、公的機関のホイールトラッキング試験にて、63,000回転以上で変位0~0.27mmという、従来のアスファルト系弾性合材の数十倍の耐久性が証明されています。
耐震性
硬化後の特殊合成樹脂は、360度全ての方向に対して伸縮性能を有するので、通常の水平伸縮、たわみによる垂直伸縮以外の動きにも追従し、製品ジョイント等他素材ジョイントの場合、その構成部材の破損により交通の妨げになる地震災害時にも(樹脂故に、多少の段差はできたとしても)緊急車両の通行が可能です。
止水性
コンクリート・金属・アスファルトとの付着力が優れている、硬化後にはゴムのように完全止水性の特殊合成樹脂PA溶剤で、橋梁遊間部を密封します。型枠を組めばいかなる形状にも施工できるので、地覆、さらには隣接する歩道も同じ素材で継目なく、遊間全体を一体で塞ぐ対応が可能なため止水性も万全です。
汎用性
型枠を組めば、いかなる形状にも対応できるため、車道目地のみならず、地覆、歩道、高欄まで全てを一体施工が可能な上、その伸縮性能故に横目地のみならず、他の伸縮装置では今まで対応不可能だった橋梁拡幅等による縦目地、斜め目地にも設置可能です。
静粛性
埋設型の特長である静粛性は、特殊合成樹脂溶剤を常温で流し込み、コテ仕上げにより平坦に施工できるので埋設型伸縮装置より遙かに向上しています。
PAジョイントの規格
PA溶剤物性表
項目 | 単位 | 規格値 | 検査方法 | |
---|---|---|---|---|
主成分 | ― | ポリウレタン系特殊合成樹脂 | ― | |
外観 | Comp A | ― | 褐色液状 | 目視 |
Comp B | 灰色ペースト状 | |||
粘度 | Comp A | mPa.s | 100~300 | JIS K6833 |
Comp B | Pa.s | 10~30 | B型回転粘度計 | |
粘度40Pa.s到達時間 | 分 | 5~20 | JIS K6870 | |
塗膜硬化時間 | 時間 | 0.5~2.5 | ドライニングレコーダ法 |
※規格値はメーカー規格
※試験条件:温度23℃
PAジョイント標準図
PAジョイント標準規格
標準タイプ | 設計伸縮量 | 標準遊間幅 | 遊間プレート | 施 工 幅 |
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PA20 | 20mm以下 | 40mm以下 | 100mm×t9 | 280mm |
PA30 | 30mm以下 | 65mm以下 | 130mm×t9 | 320mm |
PA40 | 40mm以下 | 90mm以下 | 160mm×t9 | 350mm |
PA60 | 60mm以下 | 110mm以下 | 190mm×t9 | 390mm |
標準施工厚:50mm以上 Lアングル:50mm×35mm×t6 |
※上記標準規格外の現場設計伸縮量・標準遊間幅に応じた対応も可能ですのでご相談下さい。
他社製品との比較
【比較対象規格】 伸縮量:40㎜対応 仕様:標準対応
製品名 | PAジョイント | 他社埋設置型伸縮装置 | 製品ジョイント1 | 製品ジョイント2 | |
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造区分 | 埋設型(舗装厚内型)・PU系特殊合成樹脂・全方向対応型非排水止水構造体 | 埋設型(床版箱抜型)・特殊合材/伸縮金物・非排水止水構造体 | 荷重支持型・表面鋼製波形・非排水構造 | 荷重支持型・表面鋼製台形歯型・非排水構造 | |
計伸縮量/適応遊間 (たわみ量) |
40㎜以下 / 遊間 90㎜以下(40㎜) | 40㎜以下 / 遊間 61㎜以下(20㎜) | 40㎜以下 / 遊間 100㎜以下 | 40㎜以下 / 遊間 86㎜以下 | |
標準施工寸法 (箱抜き含む) |
幅 350×深さ 50㎜ | 幅 400×深さ 120㎜ | 幅 700×深さ 140㎜ | 幅 700×深さ 70㎜ | |
三者機関性能合格証 (NEXCO要求性能) |
合格証 有 | ― | ― | ― | |
NETIS登録 | 旧登録 | ― | ― | 旧登録 | |
製品概略図 |
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比 較 項 目 |
構造特徴 | ポリウレタン系特殊合成樹脂材は不透水性で装置全体が止水構造である。水平・垂直・交差設置に制限が無いフレキシブル構造のため、斜角・縦方向の影響を受けない全方向対応型である。 | 特殊合材は不透水性の合材で、アンカー定着させた伸縮金物を補完した止水構造である。 | 本体鋼製で路面露出部の波型プレートによって桁伸縮方向に追随する。内部弾性シール材とゴムパッキンで一次止水対応し、一体型止水ゴムにより本体一体型二次止水対応で漏水を防止する構造である。(オプション) | 本体鋼製で路面露出部の台形歯型プレートによって桁伸縮方向に追随する。 内部弾性シール材と外付型ゴム樋の設置による二次止水対応で漏水を防止する構造である。(オプション) 製品高65㎜であり舗装厚70㎜以上の場合は床版等の箱抜きが不要。 |
耐久性 (10点) |
◎:9
三者機関(日本/EU)での伸縮・止水・耐久・付着性等の要求性能試験で合格認定され、耐久性・耐摩耗性に優れる。 ※NEXCO要求性能対応型 ※耐用年数:27年程度 (EU.PA実績値) |
△:5
アスファルト舗装と同程度であり耐久性に劣る。 ※耐用年数:15年程度 |
◎:9
路面露出部が鋼製で輪荷重を支持するため、耐久性に優れる。 ※耐用年数:30年程度 |
◎:9
路面露出部が鋼製で輪荷重を支持するため、耐久性に優れる。 ※耐用年数:30年程度 |
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止水性 (10点) |
◎:10
不透水性材を継ぎ目無く伸縮部に充填する全層構造で止水性に優れる。 地覆部は同一材での施工が可能で連続止水が出来る。 ※第三者機関要求性能試験合格認定(NEXCO要求性能) ※要求性能試験結果で二次対応不要。(注1) |
△:5 密閉性の優れた特殊合材で止水性が良い。経年劣化時で路面境界部等に間隙が生じた場合は漏水が懸念される。 | ◎:9 内部弾性シール材及びゴムパッキン(一次)で受け止め、経年劣化等による 装置部からの漏水を一体型止水ゴム(二次)で防止するため止水性に優れる。 | ◎:9 内部弾性シール材及びゴムパッキン(一次)で受け止め、経年劣化等による 装置部からの漏水を外付型ゴム樋を設置(二次)して防止するため止水性に 優れる。外付型ゴム樋は不連続型のため設置には注意が必要。 | |
走行安全性 (10点) |
◎:10 路面レベル一体となる連続構造で走行性に優れ、騒音・振動が殆どない。すべり抵抗性、耐摩耗性につても水準以上である。(第三者機関試験実施) | ○:8路面レベル一体となる構造のため走行性が良く、騒音・振動が非常に少ない。たわみ追従性が良く舗装路面状態に馴染むが経年劣化等によるわだち発生で 段差が生じる。 | ○:8鋼製とコンクリートのため、埋設型よりも衝撃を受け易いが路面露出巾が少なく波形プレートのため走行性は良い。内部弾性シール材が遮音の役目をして下面への影響を軽減する。 | ○:8鋼製とコンクリートのため、埋設型よりも衝撃を受け易いが路面露出巾が 少なく台形歯型プレートのため走行性は良い。内部弾性シール材が遮音の役目をして下面への影響を軽減する。 | |
施工・維持性 (10点) |
◎:10特殊機械等は不要で、所定使用量を混合管理し据付高等の精度を求める様な作業はなく、施工は簡便で施工性が良い。 舗装厚内型のため床版等箱抜きが不要である。 補修については部分的補修が可能で、製品納期がかからない。 |
○:8専用機械が必要となるがプレミックス材のため施工は簡便で施工性は良い。 床版等箱抜きが必要のため設置時間を要し、床版等への影響がある。 補修については部分的補修が可能で、製品納期がかからない。 |
△:7単純本体構造によりアンカー筋に溶接するだけなので施工は容易である。 設定時は床版等箱抜きが必要のため設置時間を要し、床版等への影響がある。 部分補修は可能であるが定尺寸法単位での補修となり、製品製作納期にも 時間がかかる。 |
△:7
単純本体構造によりアンカー筋に溶接するだけなので施工はが容易である。 二次止水材は外付で本体一体型よりもやや施工性に劣る。 舗装厚70㎜以上の場合、床版箱抜きが不要で時間短縮と影響低減が図れる。 部分補修は可能であるが定尺寸法単位での補修となり、製品製作納期にも時間がかかる。 |
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経済性 (直工費m当り) (60点) |
◎:60
イニシャルコスト:171,500 円/m 材料費:117,000円/m 施工費:54,500円/m |
△:38
イニシャルコスト:138,850 円/m 材料費:68,900円/m 施工費:69,950円/m |
○:45
イニシャルコスト:229,000 円/m 材料費:120,000円/m 施工費:109,000円/m |
△:43
イニシャルコスト:240,000 円/m 材料費:131,000円/m 施工費:109,000円/m |
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ライフサイクルコスト合計(LCC50年)343,000円/m ランニングコスト: 171,500円/m(全2回) (比率)1.00 |
ライフサイクルコスト合計(LCC50年)555,400円/m ランニングコスト: 416,550円/m(全4回) (比率)1.59 |
ライフサイクルコスト合計(LCC50年)458,000円/m ランニングコスト: 229,000円/m(全2回) (比率)1.33 |
ライフサイクルコスト合計(LCC50年)480,000円/m ランニングコスト: 240,000円/m(全2回) (比率)1.39 |
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総合評価 【配点満点 100点】 |
◎:99
耐久性・止水性・走行安全性・施工維持性・経済性に優れる。床版等箱抜き(遊間含む切欠き)が不要で橋梁本体への影響が少ない。 ・材料費:見積 ・施工費:見積「市場単価準拠」 ※特殊目地材の設置時は「m当り」加算必要。 |
△:64
走行性は良好だが耐久性・止水性・施工維持性・経済性に劣る。床版等箱抜き(遊間含む切欠き)が必要となる。 ・材料費 / 施工費:市場単価 |
○:78
耐久性・止水性に優れ、走行安全性は良好だが施工維持性・経済性がやや劣る。設置時は床版等箱抜き(遊間含む切欠き)が必要となる。 ・材料費:見積 ・施工費:市場単価 |
○:76
耐久性・止水性に優れ、走行安全性は良好だが施工維持性・経済性に劣る 舗装厚70㎜以下の設置時は床版等箱抜き(遊間含む切欠き)が必要となる。 ・材料費:見積 ・施工費:市場単価 |
(注1)第三者機関で伸縮装置に求める要求性能試験(疲労漏水試験等)で検証し「損傷度0(漏水なし)」の性能証明された製品に限る。
- ※ ランニングコストの( )内の数値は施工回数(イニシャル含む)を示す。
LCCを50年(残存)と設定(建設時から概ね100年対応)した場合の必要な取替全回数を示す。 - ※ 経済性(比率)は1位を60点とし、各案配点は「60/(各案LCC金額/1位LCC金額)とする。
その他の耐久性・止水性・走行安全性・施工維持性を各10点とする。 - ※ 市場単価(補修・2車線・静岡地区単価)2022.4版を適用。
- ※ 維持管理時の舗装補修工及び軽微な補修は含まない。
直近の施工事例
静岡県静岡市 大島橋
設置PAタイプ:PA60特 設計伸縮量:60mm以内 標準遊間:110mm以内 施工延長:11m
名神高速道路 小牧~一宮 三ツ井第3高架橋・塩尻第1高架橋・境川避溢橋
設置PAタイプ:PA40 設計伸縮量:40mm以内 標準遊間:90mm以内 施工延長:19.3m・15.2m・20.6m
静岡県伊豆の国市 打塚前橋
設置PAタイプ:PA20 設計伸縮量:20mm 標準遊間:30mm 施工延長:20.2m
静岡県静岡市 丸子宮前橋
設置PAタイプ:PA30特 設計伸縮量:30mm 標準遊間:30mm 施工延長:12m